虚愛コレクション
「どこいこっかな~~」
ひとり呟きながら、フラフラと人の間をすり抜けて行く。
あまり周りを見ていなさそうなのに、よくぶつからないものだと離れない様についていく。
サボってまで何処かに行きたい訳でもなかったので、神楽君に任せようと口出しはしなかった。
グルグルに巻いたマフラーに口元を埋めて、コートのポケットに手を突っ込む。
寒いなどと当たり前の事を思いながら、結論を待っていればまた思い立ったかのように此方を振り返った。
「せっかくだし、祈ちゃんが行った事なさそーな所にしよう」
楽しいかどうかは別だけど。と、そんな前置きを述べて手招きをする。
何処に行くか聞かなくとも、付いていけば自ずと分かる事だ。
私は歩く速度を速めて、神楽君の隣に付いたのだった。