虚愛コレクション
この気持ちに対しては彼にだって今まで散々な言われようだった為に今更な発言だ。別にどうと思う必要もないだろう。
けれど、私はヒビが入った地盤をまだ踏み固めれていない。
「脅しは嘘じゃないけど、実際に行動するには僕だって躊躇する。だから、最悪の事態になるギリギリまで傍観するつもりだったんだよ」
「!!」
地盤にヒビを入れたのは間違いなく神楽君だ。要は、泳がされていたにすぎない。
「それがどう?案外あっさりとあの人に関わるのをやめただろ?」
「っ、あっさり、だなんて神楽君には分からないよ」
「……そーだな。それでも、こんな嘘の付き合いに甘んじてるのは何でなんだろうな?」
何で、だなんて問われても分かりはしない。
脅されたから、迂闊に動けば千代に嘘を吐く事になるから。
いや、そんなのはただの建前なのだ。神楽君はもう私の答えを握っていた。
「僕、祈ちゃんが望むようにできてるだろ?」
上手く立ち回って、私が不快にならないように手を回す。そうして、傍にいる。
それだけで今度は神楽君に依存するように執着を持った。
その中に隠れた歪な独占欲は千代に対するそれとよく似ていて、しかしながら彼に対する想いにも似ていた。