虚愛コレクション
いくら時間がたっても消化しきれないこの不安定な感情。
相手には他にも一番に想う人が居るのではないかと言う嫉妬心。堪え切れない独占欲。
これらの感情を誤魔化して薄めているにすぎなくともその都度解消してくれていたのは神楽君だった。
でも、駄目だ。駄目なのだ。それでも私は私の中で神楽君を一番には出来ない。
だって、それでも、友達でありたいと願うのだ。
なのに、それでも、楽になりたくて仕方なかった。
反発する感情の狭間で、只管揺らぐ。
「……私、こんな事望んでない」
ポツリと必死に絞り出した言葉は反抗。顔を隠すように俯いて、足元だけを見つめる。
そんな私を逃さないように、神楽君は私の顔を覗き込んでくる。
「じゃあさ、本当に望む事、口にしてみなよ。そうすれば僕が何だってしてやるよ」
「……っ、」
何処か攻撃的なその口調。平行線ばかり辿る話に終止符を打とうとでも言うのか。
でも、出来ない。望みを、私の事を話すのなんて出来ない。何度言われたって、何度決意しようとしたって出来なかった。
だって、友達にはそんな弱さを見せたくなんてなかった。そんな愚かな話をしたくなかった。
思わず両の掌で自分の口元を抑えて、一歩後ずさる。