虚愛コレクション
濡れた靴下は肌に貼り付きながらも脱がされていく。気持ち悪い感覚は申し訳程度に軽減されたのだが、形容しがたい感覚は消えなかった。
微かに身動ぎしながら彼の姿に目を向ける。淡々とまるで作業のような動き。されるがまま。
細い指の動きを私は黙って見ていた。いつも私に触れるその手を。決して優しくないその動きを。
「アンタって足弱いよね」
作業が終わったと言わんばかりに、パッと手を離しつつ言う言葉はデリカシーも何もあったもんじゃない。そんな事別段求めていないし、指摘した所で何も変えはしないだろう。
「変態くさいですね」
「何とでも。事実だから仕方ないんじゃないの」
「なら、透佳さんの弱点は何処ですか?」
だけど、せめてもと茶化すように言ってみせると彼は視線を少し此方に向け、かと思えば至近距離まで詰め寄ってきた。
殆ど目と鼻の先の状態。髪と髪が触れ合う手前。やはり私が映って居るその瞳は、光のない据わった目で無表情だった。
見つめているとそれに飲まれそうになるも。
「えっ?!ぁっ、やっ!?」