虚愛コレクション
私は頭がイカれでもしているのだろう。しかし、そんな事はもういい。
「でも、透佳さんは私の中身も好きなんですよね?」
「アンタは偽造するのが好きだよね。俺はただ興奮するって言っただけ」
彼も頭がイカれている。
「今もですか?」
「今も。いつでも」
そう言うから一歩、彼に近づいた。
傘を持っている方の手を両手で掴み、傘を此方の手の内に入れた。
「なら、襲えば良かったのに。玄関ででも」
高校生が高校生なりに余裕を見せる。
そう、見せているだけだ。いつだって一杯一杯なのは私。
「だから、“遊ぶ余裕ない”って言ったじゃん。……まあ、外に出て来ちゃったけど」
ウザったそうに自身の前髪を払う。本当に払ってしまいたかったのは何だったのか、なんて。