虚愛コレクション

――


翌日の学校にて、私は休み時間の度に傘を持って校内を彷っていた。顔は覚えているが、クラスが分からないのでしらみ潰しだ。そして。


「見つからない……」


途方に暮れていた。

時間は既に昼休みで残るチャンスはあと僅か。今日も今日とて雨が降っているのでなんとか返したい所だが。見つけるなんて無理な話だったのだろうか。

窓を見れば雨が打ち付けていて、廊下は湿気で噎せ上がっていた。

髪もいつもよりごわついている気がする。それも相まって、うーん。と顔をしかめていた。

そんな風に顔をしかめても仕方ないので、とりあえずと階段を下ってみる。

すると、


「あ、れ?……いた」


意外な事に階段の先に昨日の男子生徒はいたのだ。多分だけど後ろ姿がよく似ている。

階段に腰を下ろし座り込んでいて、こんな所で一体何をしているのか不思議になるが、用事を優先させる事にした。


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