虚愛コレクション
「ちぃから、祈ちゃんの話はよく聞いてる」
「そうなんで……そうなんだ。仲良いんだね」
一瞬敬語が出そうになり、言い直す。初対面にはどうも敬語の方がしっくりくる上に何故だか喋りやすい。
でも、初対面を通り越しての尚、透佳さんには敬語だな。と、どうでもいいことを思った。
「よく言われる。まー普通に考えて姉弟で色々話するのは珍しいよなー」
「色々って……どんな話するの?」
「最近は……専ら西君の話だな。うん」
「え、西君の話までするんだ」
確かに珍しいかもしれない。私にそう言う存在がいない為に、想像だけだが。
そもそも、私からすれば好きな人の話すら、しにくいのに。……透佳さんの話すら、千代にしていないのに。いいや、出来ないと言った方が正しいか。
「そんなわけだから、千代の事よろしく」
若干目を伏せていたのを、その締め括りのような言葉を聞いて上げる。