虚愛コレクション
知ってると言われても私は全く知らないわけで。此方としては困惑だらけだ。
「えーっと……神楽さん?と、千代はどんな関係なんですか?」
「千代の弟」
「え!?」
さらりと言われ、驚愕だけが残る。千代にそんな存在がいたなんて初耳だ。そもそもあまりそう言った話はしないのだが。それにしたって……
「似てないよねー?」
「……はい」
問われて率直に述べ、焦点を隣の相手へ。その栗色の髪も、普通より尖った犬歯も、笑った顔も、仕草も何一つ似ていない。
単に、比べるべきではないだけかもしれないが。
「これでも、双子。僕が弟で千代がお姉ちゃん」
「へえ。千代、全然そんな事言ってなかったのでびっくりです」
「っていうか、さっきから何で敬語?」
首を傾げられながら、クスクスと笑われる。初対面の人にそうやって接してしまうのは癖に近く、よくよく考えれば同学年にそうしている方が変だ。
「普通にした方がいい、よね?」
問えば彼はコクリと頷いた。
自分を作る必要など何処にもないのに、切り替える為にならばと心構えを作った。