虚愛コレクション


声を掛けられた当の本人は一瞬目を丸めるもすぐさま人当たりのいい笑顔を浮かべた。

けれど驚いているのか不思議なのか、首を傾げながら此方にやってきた。


「えっと……戸倉さんの友達?話したことはない、よね?」


なんて、第一声。やはり初対面らしい。それに男女=恋人と言う発想をしない辺り、さすが西君である。


「滅多にちぃのクラスなんて来ねぇから、西君と話す機会無くてさー。初めまして、ちぃの双子の弟です」


こちらもこちらで、負けず劣らずの好印象の笑顔。この二人の方が似ているんじゃないかと思ってしまったり。


「へぇ。弟いたんだ?戸倉さん」

「う、うん……!そう、なの」


で、こっちは相変わらず。と。

吃りながら、顔を赤くしながら、必死に受け答え。

やっぱり好きなのが目に見えて分かった。


「……」


――ああ、まただ。


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