雨宿り〜大きな傘を君に〜
今日は数学の授業はないため、菱川先生の出番はなかったけれど、机の隅に置いた缶珈琲を妙に意識してしまった。
中身は飲み干して空なのに、捨てられなかった。
座席指定はないため、崎島から1番遠い席を選んだ。
女の子たちと昨日のテレビについて語る崎島の視界になるべく入らないよう、ひっそりと座る。
先が思いやられるな…。
上手く躱したいけれど方法は分からず、相談できる大人もいない。
ううん、崎島のことだけでない。
進路のこと、将来のこと、これから先のなにひとつも私は誰かに相談できずに自己解決していかなければならないんだ。
なにが正しいか分からず、最善の選択をしたと思い込んでいるだけで、行き着く先が最低のゴールだとしたらーー生きる意味、あるのかな…。