雨宿り〜大きな傘を君に〜

最寄りのスーパーもバレンタインデーの準備が進んでいて、1番目立つ場所に特設コーナーが設置されている。


14日は平日だけれど、先生の予定は空いていると考えていいのだろうか。


「先生って14日、空いてますか」


落胆するなら早い方が良いと、思い切って尋ねる。


「あれ?なにかあったけ?」


レタスを手に取りながら、反対に聞き返された。


「木曜だよね」


「いや、バレンタインデーなのでもしかしたらと…」


「そういうことか。あ、トマトお願い」


「はい」


4つ入りのトマトをカゴに入れる。

14日も菱川先生とこうして買い物をして一緒に帰って、チョコレートを渡したい。


「予定なんてないよ。ハナちゃんは?」


「私は菱川先生と過ごしたいです」


昔は自分の意見なんて少しも言えなかったのに、最近の私は大胆だ。

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