雨宿り〜大きな傘を君に〜

「崎島は?」

なんで崎島?


「塾仲間と企画しているって小耳に挟んだよ」


「…断りました」


「どうして?」


どうしてって。
先生と過ごしたいと、伝えたばかりなのに。
少しも届いてないのかな。

それまでに誕生日プレゼントも用意する予定なのに。


「たまには外で食べようか」


「外?」


「今からお店の予約できるかな」


「どうして…」


「俺はイベント好きだからね」


特別な日にいつもと違う場所で食事というのも素敵だ。

菱川先生の一言で一喜一憂するこの心は忙しない。


「帰ったら、一緒にお店を探そうね」


「はい!」


菱川先生と過ごせるバレンタインデー。
早起きしてチョコレート作りを成功させるんだ。

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