雨宿り〜大きな傘を君に〜
冷たい人なのか、優しい人なのか。
今までほとんど会話をしてこなかったから、まだ掴めていない。
「異論がないのなら崎島のことも監視できるし、しばらくは続けるね」
崎島…その名前を聞いた途端、胃が逆流するような気持ち悪さを味あう。
せっかくの美味しいシチューなのに。
塾を続ける限り、崎島と顔を合わせることになるんだ。辞めるべきは先生でなくて、私かもしれない。彼の前で平常心で居られるのかな…。
「崎島のことなら、心配いらないよ」
俯き加減の私を覗き込むように、
首を傾げて、
それはそれは優しい笑顔で先生は言ったのだ。
「俺が君を守るよ」
力強さと甘さが含まれた、その声に心臓が締め付けられた気がした。
先生からしたら親が子供を大切に想うような感覚だろうけれど。
男の人にそんなこと言われたことがないため、少しびっくりしてしまった。
けれど、とても嬉しかったんだ。