雨宿り〜大きな傘を君に〜
これくらいのことで涙目になるなんて、ダメだな…。
「いつから?」
「2ヶ月前くらいから…」
「そんなにか…」
「ただ付き纏われていただけなんですけどね」
「それでも怖かったろう」
正直そこまで真剣に考えていなかった。まさか家まで付いてくるとは思っていなかったし、崎島のことを甘く見ていたんだ。
「ハナちゃんは緒方さんのお世話になるべきだよ」
「…こんなこと言ったらあれなんですけど、緒方さんにお世話になる理由がないんです。ただ母と親しいだけで、親戚でもない私がご迷惑をかけるわけには…」
「それを言ったら俺も同じだよ。赤の他人の緒方さんの家に、我が物顔で立っているんだから」
「どうして先生は…」
どこまで聞いていいのだろう。
「君がこの家で暮らすようになったら、教えてあげる。君が気になる俺のこと全てを話すから、今は黙秘させて」
やっぱり言いにくいことだよね。
塾での先生とプライベートな先生の雰囲気が全く違うことにも理由があるのかな。