雨宿り〜大きな傘を君に〜

ここでもクリスマスソングは流れていて、クリスマス関連書籍の特集コーナーが展開されていた。

休み時間、よく図書室に行くため本は好きだし、好きな作家も多い。

けれどそれは高校生目線で。
大人はどのような物語を面白いと思い、心に留めるのだろう。


少し距離をあけて付いてきてくれる先生は本棚を眺めながらゆっくり歩いている。


30分程、特別会話もなく店内を回り、
先生に声を掛ける。


「今更ですけど、名作を選べる自信がなくなってきました…」


「そりゃぁ読む前から区別はつかないよね」


「作家さんには失礼ですけど、つまらないものを選んだらごめんなさい」


世の中に出回るくらいの本だから、文章力もストーリーの構成力もあるはずだけれど。あらすじなどに期待しすぎて想像と違うものは多い。

ちょっとプレッシャーを感じてきました。


きっと菱川先生は読んだ感想をくれるだろうから、退屈な内容だったら申し訳ないな。


「そうだな。それじゃぁ内容は置いておいて、表紙がハナちゃん好みの本をプレゼントして」


「表紙ですか?」


CDなんかも衝動的にジャケ買いしてしまったと聞くけれど、贈り物を選ぶ基準として許されるのだろうか。


「うん。部屋の1番、目に入るところに飾るから」


「…本当に良いんですか?」


「まぁ俺は、君から贈られたものなら、どんなものでも嬉しいからね」


そう言って私を甘やかす彼に感謝して、選ぶ目線を変えてみる。


表紙がお気に入りの1冊はすぐに見つかった。

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