心の中に奏でる、永遠の向日葵
コンクールは終わり、皆が花火の準備をしている間、俺はもとの制服に着替え、向日葵を待っていた。
「空川ー!」
どこからか、俺の名前を叫ぶ声が聞こえる。
もうなんとなく誰だか分かって、「大きな声出すなよ、伊藤!」と、近づいてくる三人に向かって言った。
「いやぁ。すっげえよかったぞ。二人とも、途中から鍵盤見てなくてさ、でもこっちまで楽しくなってくるくらいに笑顔だったから、ほかの人と違ってめっちゃよかった!」
勢いよくまくしたてる伊藤の次に、黒西も興奮気味に喋りだす。
「ほんと、ほんと!堅苦しい顔をした人の演奏ばっか見てたから、空川達の演奏が一番よかった!」
「その割には音も正確だし、もうすごいよ。完璧の一言だよ!」
いつもは落ち着いてる水田でさえも、ものすごい勢いで俺を褒めてくれる。
「い、いや、でもそれは、知り合いだからだろ?」
俺が戸惑いながらそう言うが、三人は全力で首を横に振った。
「んなわけないでしょ!絶対他の人も、っていうかあそこにいた人みんな、そう思ってるはずよ!」
黒西の言葉に、大げさすぎではないか、と思うが、俺は苦笑しながら頷く。
「わ、わかった。まあ、そう思ってくれる人がいるなら、俺は幸せだよ」
アハハ…と俺が失笑気味に笑う。すると。
「日向」
上品な、一番聞きなれた声がした。
三人の向こうには、父さんと母さんが立っていた。