好きだから傷付ける

美空「ごめんなさい!
私が家まで送って貰ったばっかりに...。」

雅來「いいお兄さんだな。
滝川の事、大切にしてくれてるんだな。」

美空「いっくんは親戚のお兄ちゃんだよ。
お母さんの姉の子供。
お父さんの転勤が決まって
こっちを離れる事になったから
いっくんが面倒見てくれてるんだ。」

雅來「そっか。でも何にせよ
滝川は愛されてるよ。」

愛されてる。
その言葉を口にした時
鬼藤くんは少しだけ
辛そうな表情を見せた。

...鬼藤くんはちゃんと
愛された事があったのだろうか。

雅來「さっきの話聞いたからって
別に俺に気なんて遣わなくていいから。
俺は、滝川に気遣って欲しくて
話した訳じゃない。...でも、嬉しかった。」

美空「え?」
< 18 / 197 >

この作品をシェア

pagetop