時のなかの赤い糸
「お前、永倉となんかあっただろ?」
しょうじの外から聞こえたのは土方の声。
「そうですけど」
布団を敷いていた遥は動作を止めないでいった。
「はっはっはっ!」
笑い声が響く。
驚いた遥の手がピタリと止まった。
「なんなんですか」
「やっと記憶が戻ったと思えば次は喧嘩。お前らよく飽きねぇな」
「土方さんはコロコロ女の子変えすぎなんですよ」
膨れっ面の遥はしょうじにうつる土方の影を見た。
(一人じゃない……)
時々チラチラ見えるもうひとつの影。
あんな髪型あの人しかいない。
パタッ―――――――
「なんですか!?永倉さん」
遥の苛立ついた声に永倉が冷や汗を流した。
「おいおい、そんなに怒ってやるなよ。永倉もやらしい意味はなかったんだよ」
土方が慌てて遥をなだめる。
「ごめんなさい」
永倉は下を向いて頭を下げた。