時のなかの赤い糸


「お前、永倉となんかあっただろ?」



しょうじの外から聞こえたのは土方の声。




「そうですけど」




布団を敷いていた遥は動作を止めないでいった。



「はっはっはっ!」




笑い声が響く。




驚いた遥の手がピタリと止まった。



「なんなんですか」



「やっと記憶が戻ったと思えば次は喧嘩。お前らよく飽きねぇな」




「土方さんはコロコロ女の子変えすぎなんですよ」



膨れっ面の遥はしょうじにうつる土方の影を見た。



(一人じゃない……)




時々チラチラ見えるもうひとつの影。




あんな髪型あの人しかいない。




パタッ―――――――




「なんですか!?永倉さん」




遥の苛立ついた声に永倉が冷や汗を流した。




「おいおい、そんなに怒ってやるなよ。永倉もやらしい意味はなかったんだよ」




土方が慌てて遥をなだめる。




「ごめんなさい」




永倉は下を向いて頭を下げた。




< 268 / 506 >

この作品をシェア

pagetop