時のなかの赤い糸
「永倉さんなんて知らない!」
ドシドシと荒っぽく渡り廊下を歩く遥の隣でパシッとしょうじが開いた。
「うるさい」
「……ごめんなさい……ι」
土方が遥を見据えてフッと笑った。
「な?」
訳がわからない、だが、土方が遥を見て笑ったのは確かで、余計に腹がたった遥はそのまま屯所を抜け出した。
暗がりを歩いて、少し離れた場所にある二年坂まで来た。
ここらへんは賑やかだ。
人や店の明かりで京都は京都色に色付いていた。
時々目に入るのは可愛い修飾をした簪やら着物。
(お金持って来たらよかった)
なんて思いながら遥はクルリと足を壬生村に向けて歩き出した。
(また春ちゃんと来るもんね)
女の子な気分になって怒りもなくなった遥の気分は上々。
鼻歌を歌いながら屯所の自室に入っていった。