時のなかの赤い糸


ガタガタっ!!



出口も見えたという時に、激しい火の粉が遥と舞子のほうに吹き出した。



「「きゃあ!!」」




恐怖をもちながらゆっくり遥は目を開けると、振動で出口は火に囲まれていた。



「どうしよぉ!!」

「新撰組やろ?なんとかしてぇな!!」

「わかってますよぉ」




遥が頭をフル回転させていると、外から出口に向かって水がかけられた。




しゅ――――……と消えた火



そこから初めて見る武士が顔を出した。




「早くこちらへ!!」




武士が叫んだのに気を戻して舞子の背中を押しながら遥と舞子は外に出た。



武士は、新撰組のダンダラ羽織を着ていないから、新撰組ではない。



「……新撰組の子だね」



見据えていた遥にニッコリ武士が笑った




「俺は見廻り組の滝本脩平」



そう言って滝本は遥に自分の羽織を着せた




「火で穴だらけだよ?」

「え……――――!!!!」




恥ずかしそうに遥は着せてもらった遥を掴んだ。




「舞子さんは俺がつれていくから、君は隊に戻りな。

確か、新撰組の女の子は綾野遥。だったっけ?」




遥が頷いた後、満足そうに滝本は舞子の肩を支えて歩いていった。





< 316 / 506 >

この作品をシェア

pagetop