時のなかの赤い糸


「あんたら黙って見てるようには思えないからな」

「わかってるじゃねーか」




原田がいつもの笑顔を見せる。



「近藤さんの首は京の鴨川に晒されることに決まった。
俺は新撰組の斎藤と合流して首を取り返しに行く」



滝本の表情が和らいだ



「あんたら逃げなきゃいけない身になるだろう」




ああ、と永倉と原田が頷く。



「だから、縁がないかぎりサヨウナラだ」



滝本の手が遥の手を握った。


そして一瞬、滝本の唇が遥の手の甲に触れる。



「またいつか。どこかで」



笑顔の滝本とは裏腹に永倉は口をパクパクしている



「サヨウナラ滝本さん」




遥の笑顔を見た滝本は踵を返して歩いていった。





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