時のなかの赤い糸
ザワッと辺りがざわついた。
「近藤や」
「あれが天下の悪党か」
そんな声が聞こえる。
遥も永倉も原田も、意を決めて人だかりに向かっていった。
(天下の悪党だなんて、局長のこと何も知らないくせに)
遥は強く唇を噛み締めた。
板橋の斬首場は綺麗な川が流れている。
川のすぐ上に台がある。
そこには、もう刀を構えた者がいた。
建物の方には新政府の役人が座っている。
その場から少し離れた場所に一般が見れるところがあった。
それ以上、立ち入ることが出来ないようにがっちりと柵が組まれている。
遥は永倉に手を引っ張られながら人を掻き分けて前へ進んでいった。