時のなかの赤い糸


「すまない」



土方が申し訳なさそうにため息をはいた。



「そんな…大丈夫ですよ土方さん」



遥は笑って土方を見た。




「本当は永倉や綾野のことを見守っていたかったんだ」




土方が壁にもたれかかった。



「だけど…その気持ちを許していたら、自分が駄目になってしまう気がして。
この御時世にここまで念の入った浪士組はないだろうが、
もっと武士らしさを忘れてしまわないためが故なんだ」



遥が土方の手を両手で掴んだ。




「土方さん!!そのジャパニーズ精神忘れないで下さい」



遥は目をキラキラさせて稽古場に戻った



「じゃ、じゃぱ?」



土方は吹き出すように笑うと、近藤のもとにいった。




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