~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
体が悲鳴を上げた。
節々が悲鳴を上げ、指先をかすかに動かすので精一杯だった。
動かないのは、今までかかっていた煽烙の仙術のせい? それともその前にかけられた攝邪呪(せつじゃじゅ)による麻痺のせい?
いずれにせよ、藍奈の頭はほとんど麻痺していた。体と同じように。
しかし、そんな状態の頭でも、一つだけ、不自然なことに気付けた。
(なんで……痛くないんだろう……)
そうだ。
今の今まで煽烙の重力強化の口訣をかけられていたはずだ。それが、ここにきてまったく痛みを感じなくなっている。
いや、そうじゃない。
魔法がかかっていなかった。
(なん……で……?)
藍奈の頭に、一瞬でこれまでの出来事が流れ込んできた。
煽烙の企み――口訣をかけられた自分と茜――『未完成の賢者の石』を使う煽烙――一瞬にして火の海と化したホール――真っ赤な髪に、左眼の開いた麟紅――真っ赤な眼――伝説の魔術、竜王術――地獄の竜王の眼、獄竜眼――――。
(!! そうだ! リンクが!!)
痛みも無視して顔を上げると、そこは炎の海の中だった。隣を見ると、気絶して倒れている茜がいる。
真っ赤な海の中心には、スーツのジャケットを振り回す煽烙と、紅の髪を有した麟紅が、狂った踊りを踊るように戦っていた。
「リ、リンク!!」
一瞬見せた左の眼は、紅に燃えている。
「フハハ! いいぞ! もっと見せてくれ! 伝説の獄竜眼の力を! もっとだ!!」
煽烙の醜い声が響いた。
「あれが……獄竜眼……」
藍奈の隣で、ようやく茜が意識を取り戻し動き出そうとしているのがわかった。
節々が悲鳴を上げ、指先をかすかに動かすので精一杯だった。
動かないのは、今までかかっていた煽烙の仙術のせい? それともその前にかけられた攝邪呪(せつじゃじゅ)による麻痺のせい?
いずれにせよ、藍奈の頭はほとんど麻痺していた。体と同じように。
しかし、そんな状態の頭でも、一つだけ、不自然なことに気付けた。
(なんで……痛くないんだろう……)
そうだ。
今の今まで煽烙の重力強化の口訣をかけられていたはずだ。それが、ここにきてまったく痛みを感じなくなっている。
いや、そうじゃない。
魔法がかかっていなかった。
(なん……で……?)
藍奈の頭に、一瞬でこれまでの出来事が流れ込んできた。
煽烙の企み――口訣をかけられた自分と茜――『未完成の賢者の石』を使う煽烙――一瞬にして火の海と化したホール――真っ赤な髪に、左眼の開いた麟紅――真っ赤な眼――伝説の魔術、竜王術――地獄の竜王の眼、獄竜眼――――。
(!! そうだ! リンクが!!)
痛みも無視して顔を上げると、そこは炎の海の中だった。隣を見ると、気絶して倒れている茜がいる。
真っ赤な海の中心には、スーツのジャケットを振り回す煽烙と、紅の髪を有した麟紅が、狂った踊りを踊るように戦っていた。
「リ、リンク!!」
一瞬見せた左の眼は、紅に燃えている。
「フハハ! いいぞ! もっと見せてくれ! 伝説の獄竜眼の力を! もっとだ!!」
煽烙の醜い声が響いた。
「あれが……獄竜眼……」
藍奈の隣で、ようやく茜が意識を取り戻し動き出そうとしているのがわかった。