~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
「ん……え、あれ……」

「起きた?」

 茜が軋む体を起こすと、視線が声の主を捕らえた。

「藍奈……さん? あれ? いったい何が……きゃあ!」

 周りを見渡してみて、ようやく自分が火の海の中にいることに気付いた。

「ど、どどどどうなってるんですか!?」

 慌てて藍奈を振り返ると、藍奈の視線はある一点で固まっていた。
 その視線の先を追うと、自分のクラスの担任で今回の仕事の依頼人である東鳳院先生と、炎をまとった紅い髪の少年が戦っていた。

「麟紅……くん……?」

 思わずそう呟いていた。周りから見れば、おかしなことを言っていると思われただろう。その少年は、自分が知っている少年の姿とはかけ離れていたのだから。
 それでも自分の口は少年を麟紅と呼んだ。

「麟紅くん!!」

 立ち上がろうとするも、足が言うことを聞かない。
 そして、ふと、少年の左眼が見えた。
 いつものような、細い糸目ではない。
 しっかりと開かれた眼。
 眼球そのものが紅に染まった眼。

「何……? あの眼……」

「獄竜眼……」

 隣にいる友人、藍奈が小さく呟いた。

「獄竜眼……?」

「そう、地獄の竜王の眼……」
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