キンダーガーテン四　　　～私の居場所に～
涙が止まった頃………

そっと握っていた手を離して、頭を引き寄せた。

「ごめん………急ぎ過ぎた。」

顔を上げようとする唯をおさえて

「今までのペースに戻ろう。
婚約を解消はしないからね。
結婚もする。
でも、後の事は………
もうちょっとゆっくり進めよう。
頭と心が…………ついてきてなかった。
ごめんね。」って。

そっかぁ………心が追い付いてなかったんだ。

大人になろう！

良い奥さんに！

家族だって、仕事だって………今以上に頑張って！って………

頭では考えてても………

心はまだまだ子供だったんだ………。

大人になろうって思ってなるものじゃないもんね。

無理の結果の涙。

先生には………

唯が無理してるのが………見えてたんだ。

「結婚できるって………浮かれ過ぎてて………
唯ちゃんの気持ちを、置き去りにしてた。
『こうしたら喜ぶか？』
『これなら、安心できる？』って俺が思う幸せだけを押しつけてた。
唯ちゃんは……そんな幸せを望んでなかったはずなのに………。
たぶん、隣で笑ってるだけで十分だったんだよなぁ。
……………………ゆっくり……………幸せになろう。」

先生はいつだって、唯の気持ちを一番大切にしてくれる。

自分でも気づけなかった心の中まで………。

急いで大人になれないし

これからも、泣き虫で甘えてばかりの唯だけど………

先生の愛情だけは、見失わないようにしよう。

そうすれば…………ずっと隣で笑っていられるから。
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