キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
5-4
「・・・ただいま」

ミチルさんもとっくに出かけた後の、一晩空けただけの我が家に戻れば、リビングもキッチンもきちんと片付いてて何ひとつ変わってない。
・・・当たり前だけど、なんだかすごくほっとした。

二階の自分の部屋でパーカーとストレッチのジーンズに着替え、洗濯物を持って階段を下りかけたところで、ミチルさんの部屋へと踵を返した。
シーツと枕カバーの回収を思い立ったからで、普段は用も無いのに勝手に入ったりはしない。

壁際のセミダブルベッドには枕が二つ。お揃いってワケじゃないから、ミチルさんのは、ブルーグレーの無地のカバーで、あたしのはアイボリーにピンクとオレンジの、花びら模様柄。この部屋の中でも浮いてる。内心で苦笑い。

ベッドの他にはパソコンデスクに、本が並んだラックとチェスト。服や小物はクローゼットの中に収まってる。余計なものは置いてないシンプルな部屋。
男の人だから何でも黒って勝手にイメージ持ってたけど、ミチルさんはベッドのフレームも白を選んでるし、机もラックもみんな白だ。
カーテンとカバー類はブルーグレーで統一してて、全体的にしっとりと落ち着いた雰囲気。彼にそぐう。

シーツとカバーを外し、後で布団乾燥機をかけようと脳内スケジュールに書き込んだ。
今日は生憎の曇り空で、薄日が射したとしても日光浴はできそうもないから。
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