キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
ミチルさんが安らかでいられることがあたしの、存在する絶対条件だから。
何より大切なこの人の笑顔を翳らせてしまうのだけは。
願いはたったそれだけ。

一瞬、見張った眼差しを儚そうに歪めたミチルさんは。掴まえたあたしの掌に口付けして、包み込むように指を絡めた。

「・・・・・・僕の全部はりっちゃんの為だけに在るんだ。結婚はね、その約束だから。・・・隆弘にはちゃんと顔向けできるよ」

突き抜けるかと思うくらい、お互いに深く目を合わせ。




・・・・・・うん。ミチルさんがいいなら、それでいい。
胸の中で呟いた。
責任でも義務でも、どんな名前が付いても。

失うくらいなら、歪に固まったままの心臓で愛してる。



いつか壊れるまで。何と引き換えにしても構わないほど、大好きな人を。




< 116 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop