キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
契約が終わった後も羽鳥さんは雑談に一花咲かせ、売り主さんも買い主さんも上々の機嫌で9時前にお帰りになった。・・・・・・大したことしてないけど緊張して。疲れた。

「志室さんも、お疲れさん。じゃ、メシ行こうか」

さくさく帰り支度をした羽鳥さんが、爽やかに笑う。




連れて来られたのは、駅の向こう口にある『つくし野』っていう居酒屋。
安くて美味しいって評判の人気店で、中でも焼き鳥がおススメなんだそうだ。

あたしと吉井さんが隣り合って座り、テーブルを挟んで向かいの羽鳥さんが音頭を取る。

「無事、契約終了したのと、志室さんの歓迎会ってことで乾杯!」

ジョッキの生ビールを喉を鳴らして美味しそうに飲む羽鳥さんをじっと見て、吉井さんが少し呆れた風に目線を傾げた。

「羽鳥さん、車じゃないんですか?」

「車だけど?」

何か?って、しれっと返されてる。

「睦月のアパートに泊まるからいいだろ?」

「・・・もう。最初からそのつもりだったんでしょ?」

溜め息交じりの彼女。・・・何となく。二人の間の空気に気が付いてしまった。

「・・・あの」

二人から視線が向いたから、恐る恐る。

「もしかして、お二人って付き合ってたりします・・・?」
< 12 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop