キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
有休消化も兼ねて平日に休みを取ってくれた彼と、久しぶりに一緒に電車に乗り。やって来た目当ての花見スポットは、名前の知られた神社に連なる大きな公園で。
見渡す限り、桜の木の下は、シートを広げて宴会を繰り広げてる陽気な酔っ払い達で埋め尽くされてた。

ところどころ屋台も並ぶ遊歩道を、ミチルさんに手を繋がれて歩く。
今日は二人とも、下はジーンズのカジュアルスタイル。パーカーにデッキシューズって普段着みたいな恰好してても、品良く見える隣りのイケメンさんは。年齢問わず、すれ違う女子の視線を200%釘付けにしてます。
そして、隣りが二度見されてます。相変わらず。

あたしはと言えば。お尻が隠れるくらいの丈のダッフルニットにスニーカーで、いつもより3割増しで子供っぽく見えてる自信はある。今更、身長は伸びないし、童顔も治んないし。
そっと横を見上げると、すぐに目が合ってやんわり微笑まれた。

・・・うんまあ。ミチルさんと釣り合うレベルになるには、細胞分裂からやり直してスーパーモデルにでも生まれ変わんないと、ムリだしね。
あっさり、開き直りを決め込むことにする。

「平日でも、すごい人だね」

あたしより20センチ以上は目線の高さが違うミチルさんが、遠くを見渡す仕草で笑う。
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