12月の春、白い桜が降る。
最後の冬は、美しかった

冬郷 陽

ひなたと会わなくなって、おそらくもう二ヶ月は経った。

気温がまたぐっと下がり、冷たい風が僕の体を突き抜けるような感覚に陥る。

だが、僕は何も考えられずにいた。

康平から惚気話をされても、学校の授業も、
何もかもが空っぽに聞こえて、全く耳に入ってこなかった。
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