12月の春、白い桜が降る。
中一の頃、初めて話したあの日から、僕は彼女に目が惹かれていた。

結川 陽は馬鹿みたいに笑顔で

「よろしく!」
と僕に声をかけた。

こんなに心から笑っている人を見たのは久々な気がした。

この人の笑っている姿は、僕のつまらない思考や性格を明るくしてくれる気がしていた。

もちろん心では山本さんが好きだったから、恋をしていたという訳では無い。

ただなぜか、目が離せなかった。

僕とは性格がまるで真逆なのに、なぜか、自分と似ている気がした。

だから次の日、彼女と同じ小学校だったクラスメイトに話を聞いた。

彼女は最近、二年間片想いしていた人に失恋したばかりらしい。

その人は、女子にしては身長が高めな彼女とは逆に、かなり低めの身長で、顔が整っていた野球少年、と言った感じだった。

まるで僕とは真逆の人だった。

あんな笑顔からは想像がつかなかった。だから、自分と似ている気がしたのか。

僕と同じように、失恋したから。

ずっと、たった一人のことを思い続けていたからー。
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