12月の春、白い桜が降る。
「や、だから、そいつお前の彼女だろ?」

昨日の一件を話し終わると、康平は呆れたようにも見える表情で、そう僕に言った。

「いや、まだ返事はしてないんだってば。」

「いやお前元々居ただろ。彼女。中学同じで、他校の子。名前…確かなんとかひなたちゃん?だっけ?」

「えぇ!?僕あの人と付き合ってたことあるの!?」

「え、もう付き合って一年になるって…、


あ!そうじゃん!お前そういえば事故にあったんだった!」

康平が急に大声を出すので、周りの乗客から視線を集めてしまった。

「それがどうかした?」
「忘れてた。お前記憶飛んでんだよ。」

「は?」

康平の言葉には全く理解が出来なかった。
記憶が飛んでるなんて言ったって、僕は自分の名前も家も学校も、
康平のことだって現に覚えているじゃないか。

わからなかったのは、結川さんの事だけで…
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