12月の春、白い桜が降る。
僕等は目的の駅につくと、改札を出てすぐ左方にある大きなショッピングセンターのビルに入った。

その中で、店外にもふわっと優しい香りが漂う香水のお店を見つけた。

康平は、ひとつの香水を手に取った。

これ、良くない!?と、子供みたいにはしゃいで見せてきた。

香水の側面にはオシャレな筆記体で“Camellia”と表記されている。

Camelliaとは、山茶花を意味する英語だ。

見本品として棚の先頭に置かれているこれと同じものを取り蓋を外して、
同じようにして置かれている小さな紙にプッシュした。

…正直、この匂いが山茶花なのかは全然わからなかったが、
康平は自分の手首につけたものを嗅いですぐさま、これにする。と目をとても潤わせた。

さすが、二年間彼女がいただけあって手に取るもののセンスがいい。
いいね、と僕が返事をすると、康平はだよな、とそれを持ったままレジへ向かった。

値段はそこそこするが、康平は目をキラキラさせて満面の笑みで、幸せそうな顔をしていた。

買い物をすませると、近くの安いファストフード店で昼食を済ませ、四時前には帰宅することが出来た。

家に帰ってくると母親はもうおらず、テーブルの上にはまた、
今日はオムライスがラップに包まれて置かれていた。

彼女が来るまでまだ時間があるだろうと、少しだけ眠りにつくことにした。

僕はその時、正直、彼女が来ることを楽しみにしていた。
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