12月の春、白い桜が降る。
「そして彼女の放つ“愛している”は雪よりも切なく、美しすぎていた。」





何よりも、誰よりも、発する言葉に重みがあった。


自分は病気だから。

記憶が無くなって言ってしまうから。

いつか死んでしまうから。

それから、僕が彼女を愛していたから。



桜が好きな君にとって、

僕らにとっての春は、十二月だ。

十二月に降るのは雪ではなく、白い桜であって、

君はちゃんと、桜を見た。



僕らの物語を作るとしたら、ハッピーエンドにはなれなかったかもしれない。

切なくて、痛々しくて、不器用で、

タイトルをつけるとしたら。何になるだろう。


“桜のような雪が降る日、僕と綺麗な恋人の話はおわった。”
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