12月の春、白い桜が降る。
とりあえず映画のチケットを取り、

時間がまだあるのでどこで潰すかを尋ねると、彼女は考える間もなく、「プリクラ!」と言った。

今時の女子学生がプリクラ好きってことくらい、流石に僕でもよく知っている。

補正で目がでかくなったり肌が白くなったりする機械で、

僕はそもそも写真を撮るという行為自体も、わざわざそんなものを撮る意味も理解が出来なかったが、

ひなたとなら全くもって嫌じゃないのでいいよ、とだけ答える。

「女子ってなんでプリクラ好きなの?」
「えぇ!なんでだろ。そういう生き物なんじゃない?
私は遊び行ったらプリクラ撮るのは当たり前だと思ってるから!」

彼女はなぜか誇らしげな顔をしている。

彼女は普段は結構気が強く自由奔放な性格だが、こういう時に女子っぽさを発揮してくる。

近くのゲームセンターにつき、大きな女の人が写ってる箱の中に二人で潜り込む。

百円玉を4枚入れると、彼女が異様に慣れた手つきで目の前の画面を弄りだした。

僕は心底流石だ、と思った。

もしかしたら彼女は、普通の女子と比べてもかなりプリクラ信者なのかもしれない。

そう思えるほど手つきは素早く、撮る時も初めての僕に対して手際よく指導した。

SNSでよく見かけるポーズで一緒に撮り僕は気恥ずかしかったが隣にいるひなたはとても満足そうな顔をしていて、

こんなものでこんなに幸せそうな顔をしてくれるのなら、何枚でも撮ろう、と思っているうちに、自然と笑っていた。
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