12月の春、白い桜が降る。
そうこうしているうちに映画の上映時間に近づいたので、

僕等は足速にシアターへ向かった。

既に広告が何分が始まっていたが、本編はまだ始まっていないようだ。

指定された席につき、流れてくる広告を眺めていた。

彼女は強い眼差しで大きな画面を見つめながら「面白そう!」だとか、「これ絶対怖いよね」だとか、

見る度見る度コメントを付けている。

映画が始まると同時にこのシアター内は一気に灯りが落とされ、周りが何も見えなくなるほど真っ暗になった。

映画が始まってもすぐ隣からひなたの体温が伝ってきて、
暗いせいかいつもより緊張が増して、あまり集中できなかった。
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