12月の春、白い桜が降る。
映画が終わるとすぐ近くのファミレスで夕食を済ませた。

そこで彼女は、また新しい自分のことを話してくれた。

どうやらトマトが子供の頃からどうしても苦手らしい。

僕もトマトが苦手だと伝えるとそうだよね、と少しハイテンション気味に食いついてきた。

逆に好きなのは苺で、行ってみたい国はハワイ。

初恋は小五で、実りはしなかったらしい。

意外にも、誰かと交際するのは僕が初めてだと言う。

僕も初めてだが、ひなたの方が告白も突然だったし、恋愛経験は豊富に感じていた。

…いや、あの告白だって本当はすごく緊張したのかもしれない。

された僕ですらあんなに心臓が鳴っていたのだから。

二つ個下の弟が一人いて、今は受験に向けて勉強を頑張っているそうだ。

家族はみんないつも明るく賑やかで、そんな家族の話をひなたは楽しそうに話していた。

僕も自分のことを話すと、ひなたは相槌をうったり小さなリアクションの声をあげたり、

真面目に僕の話を聞いてくれているようだった。

…山本さんの話もしたが、決して責めることはなく、
「そんな時代もあったんだね〜」と少しふざけた口調で言ってきたりなどで、少し安心した。

時々以前の好きな人の話なんかをすると怒る人がいるそうだが、
彼女はそんなことちっともなく、笑顔で聞いてくれた。

帰りは勇気を振り絞って手を繋い帰ってきたが、

家についた時には緊張で顔がとても熱くなっていた。

しかし窓から入ってくる夜風が僕の前髪を靡かせ、居心地が悪いものでもなかった。
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