12月の春、白い桜が降る。
中学に入ってすぐ、私は初恋が失恋した。

小学生の頃、男子や周りの女子たちよりも目立って背が高かったため、男子たちは私をよく茶化した。

みんなの前では強がって見せてたけど、背の低い華奢な子なんかを見ると、

私も背が低かったらな、と自分の背が嫌いで、男子のことも、いつしか嫌いになった。

そんな中、五年生の五月に、彼が転校してきた。

私よりずっと背の低い男子だった。

初めはぶっきらぼうで、私とは仲良く出来ないな、と思っていた。

でもあるバスケの授業で、彼がクラスの誰よりも高くジャンプして、誰よりも活躍していた。

バスケなんて、背の高い人が有利な競技だ。

私は苦手だった彼にも、
「どうしてそんなに上手なの?」と聞いた。

彼はただ一言、「好きだから。」と答えた。

その日以来、私は初めて男の子に恋をした。
< 64 / 210 >

この作品をシェア

pagetop