やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

「都って、今、誰のとこにいるんだっけ?」大久保君が何気なく聞いた。
ズキンと胸が痛む。
ほんの一瞬忘れてた名前なのに。
私は、表情に出さないように気を付ける。
「町田課長のとこよ。今は、彼が直属の上司なの」二人は、驚きを隠せない様子で言う。
この二人にも彼の名前は、知られてるのだ
「へえ、そっか。都、町田さんとこにいるんだ。彼、素敵だね。こっちでも何度か見かけるよ。雲の上の人だけど」
と友香ちゃんが言う。
「もともと開発課のエリートだったからね。町田課長も体調崩したことがあって、それでいろんな部署を周ってるとか」大久保君が教えてくれた。

そうなんだ。
「いろんなところに行かせられるのは、経験を積ませるためだって聞いたよ。そのうち、そのうちどこかの部長になるって聞いたけど」と友香ちゃん。
近くにいた私よりも、この二人の方が詳しい。

「町田課長って、まだ独身だよね?都、彼ってどう?」
「うん……」だめよ、私なんて相手にならない……
そう言いかけて泣きそうになってしまった。
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