やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
「ちょっといいかな」
営業部で仕事を終え、帰ろうとしたところで声をかけられた。
「いいですよ」私は、岡先輩に答えた。
今夜は、岡先輩と一緒に出かけることになった。
「どこか行きたいところはある?」と聞かれたので、前に水口さんと言ったところの名前を言った。その店なら、仕事帰りでもやっている。
「そこにしようか」
「お酒は飲めませんけど」
「構わないよ」ということになった。
岡先輩は、席に着くなり謝って来た。テーブルにつきそうなほど頭を下げている。
「止めてください。もう、終わったことですから」
「そうはいかないよ。神谷さんに迷惑かけちゃった。君、町田課長と付き合ってたんだね」
「ええ」それも、過去の話になりつつありますけど。
「それで、あの後大丈夫だった?
すぐに声をかけようと思ったんだけど。何日も経ってしまってごめん」
「いいですよ。そんなこと。それより、彼女さんと上手くいってるって聞きましたけど」
そういうと、岡先輩は照れて笑った。
「ありがとう。こっちは何とかなりそうだよ。あの後、町田さんに話を聞いてもらったんだ。自分の甘いところとか指摘してもらって。そうしたら、彼女とも話ができるようになって。上手くいきそうな気がしたんだ。
さすが町田さんだと思ったな。大人だし、頼れる人だし。そんな人に気にいられてるんだから、もっと自信をもって」
「ありがとうございます」