やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
「君は、まだ意地をはるのか?」
部長が一歩近づいたので、後退った。
「意地なんかはってません」
彼は、子供に言い聞かせるみたいに、顔を近づけて、大きな目でまっすぐ見つめて来る。
「じゃあ、どうして断るんだ?断る理由なんてないだろう?」
両腕をぎゅっとつかまれた。
ダメだ。もう、我慢出来ない。
感情があふれて来た。
優しくしたり、無視したり、弄ばれたらたまらない。
「嘘つき。あなたなんて大嫌い。離して!」
「嫌だね。離すもんか。俺が、いつ嘘をついた?」彼は、大真面目に言う。
「あなたなんか、嫌い。嘘ばっかりだもん」
彼の指が、腕をつかむ。
両腕に食い込むほど強くつかまれる。
「俺は、君にそんなふうに言われる筋合いはない」
「ここまで来て、誤魔化そうとするの?」
他にも女性がいるくせに。
いっきにまくしたてて、数々の悪事をぶちまけてしまおうか。