やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

意外な答えだったのか、彼は驚いて目を見開いた。
「本当にそれだけか?
君は、俺と結婚したら、後悔するかも知れないと思ってるんじゃないのか?」
彼は、心底驚いているみたいだった。
「まさか」
有能な彼は、えっ私がそんなくだらない理由で、答えを渋ってるって思わなかったのだろう。

私は、彼に優しく微笑んだ。
この人ったら、そんなこと心配してたの?
写真立てを彼から受け取って、ベッドサイドのテーブルに置いた。
「侑介さん、こっちを見て」
「都?」
彼の首に腕を回して、甘えるようにささやいた。
「今は、侑介さん、あなたしかいない。こうしてあなたの腕の中にいるのが幸せなの」

何もかも完璧な人だったから、何も言わなくても分かってしまうだろうと思い込んでいた。
あるいは、好きですなんて表現は、何度も聞いていて聞き飽きているだろう。
なんて勝手に思っていた。

「ごめんなさい。言葉が足りなかったわ」
「都、何してるの……」
「少し黙っててよ」
私は彼の目を見て、ゆっくりとキスをする。

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