やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
「朝早くごめんね」
岡先輩は、私のような後輩にまで丁寧にあいさつをしてくれた。
そして、机の上に置いてある黒のノートパソコンを私の方に向ける。
「忙しいのに、悪いね。これ見てくれよ。画面がここでストップしてその後進まないんだ」岡先輩のいう通り、パソコンは、メーカーのロゴマークがうつしだされたまま止まっていた。
岡先輩は、不安そうに画面を見つめている。
きっと、大事な資料とかが取り出せなくて困ってるのだろう。
「これ、電源の入れ直しましたか?」私は、岡先輩に尋ねると、岡先輩は大きく頷いた。
「もちろん。でもだめだった」
彼は、指でキーボードをつついてみた。
パソコンは反応しない。
先輩は、横についてる小さなランプをのぞいたりしている。
「わかりました」
電池まわり、やっぱりコンデンサーかな?私は、画面を見ながら考える。
「わかったの?」岡先輩は、人懐っこい笑顔で話しかけて来る。
「いいえ、わかったのは原因ではなくて。
先輩の話がわかりましたっていうだけです」
「なんだ、そういうこと」先輩は、私を見て笑った。
わ、笑われた。
やっぱり爽やかだなあ。岡先輩は、誰にでも好かれる好男子っていう感じ。そばにいるとふわっとした感じがする。
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