やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
あまりの衝撃に、言葉が出てこない。
何で?
何で。なんで課長がうちにいるの?
いや、別に居てくれてもいいんだけど。
同じベッドに重なり合って寝てるのは、ちょっと……理解できない。
しかも課長、上半身裸でいる。
いや、見て無いけと。薄いキャミソールを通して、肌が直接触れている。
肌が直接?
も、もしかして私、
課長とずっとこうしてた?
思考が停止してる。
まさか……
お願い。いや。それだけは止めて。
「おい、人の話聞いてるのか?」
課長のそっけない声に我にかえった。
「そ、そんな。無理です!!」
私は、さらに腕を突っ張り、課長から少しでも遠ざかろうとした。
「あっ」
むき出しの胸が、キャミソールからこぼれてぶらんと課長の目の前にぶら下がった。
「神谷……何してる?
お前、この方がいいのか?」
課長はためらいもなく、大きな手で胸をわしづかみにした。
上司に裸をさらしたうえに、胸まで揉まれてる。あまりのことに、声が出ない。
「どうした?」
「課長……私、あの……」なんというか。
お楽しみのところすみませんが。
手をどけてくださいって、
何て言ったらいいの?
「おい、やっぱ寒い。こっちに来い」
「ええっ?」
私は、考えをまとめる間もなく、課長の腕の中に引き戻される。
課長は私の顔を、自分の鎖骨に押し付け、ぎゅっと抱きしめた。
何これ!!
まるで恋人にするみたい。
岡先輩にされたら、嬉しいけど。
私は、今、先輩ではなく、町田課長の腕の中にいる。
あまりのことに体が強張って動かない。
逃げようと思っても、課長の腕が背中に回ってどうにもならない。
ひえー!
本当に課長だ。
夢じゃないの?本当に現実?
課長と、こんな格好で朝を迎えるなんて。
「おはよう」
さっきと同じく、低く張りのある声が耳のそばで響く。