旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「なにやら結構いいものみたいですよ。試しに一杯飲まれてみます?」
「えっ、いいんですか」
「愁さん今日は遅くなるみたいですから。先にちょっと飲んでもバチ当たりませんよ」
小西さんはうふふと笑いながらグラス半分ほどのワインを注ぐ。
それを受け取り嗅いでみると、濃く甘いワインの香りが鼻から入り込んだ。
いい香り……。
口をつけて小さくひと口飲むと、予想以上に飲みやすく、ジュースのような感覚で喉を通っていった。
「ん、おいしい!」
「ふふ、よかったです」
これはついつい飲んでしまうかも。グラスの中身をからにしながら思っていると、夕食が一名分しか用意されていないことに気がついた。
「あれ、小西さん帰っちゃうんですか?」
「えぇ。今日はこれから地域のカラオケ大会があるので!」
小西さんはそう言って、そそくさと荷物をまとめて帰って行く。
友達と会ったりカラオケ大会行ったり、小西さんって結構アグレッシブ……。
ひとり残った私は、せっかくなら小西さんの作ってくれたおかずをおつまみにワインを飲もうと決めた。
今日のおかずは焼き魚だから、ワインと合うかはちょっと微妙だけど。
津ヶ谷さんと、とも思ったけれど今日はふたりでゆっくり飲む気分ではない。
津ヶ谷さんが帰って来る前に、ひとりで軽く飲んじゃお。
そう思い、私はひとりで、ワインをもう一杯グラスに注いだ。