旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「な、なにしてるんですか」
「お前が寝落ちするまで、愚痴くらいなら聞いてやる」
それは、昼間私が飲み込んだ言葉や、まだこんなにもモヤモヤとし続けている理由を聞いてくれるということなのだろう。
過去の自分の情けないことも、弱音も、見せたくない。
……だけど、こうして隣に寄り添って、耳を傾けてくれるのなら。
少しは甘えてみようかな、なんて思い、私は彼に背を向け口を開いた。
「……私、子供の頃からアニメとか漫画が好きで。でもって引っ込み思案だったから、よく男子に『根暗』とか『オタク』ってからかわれていたんです」
「まぁ、そう言いたがる奴もいるよな」
納得したように言いながら、ふん、と鼻で笑う声から『つくづく夢見がちなやつだ』とでも聞こえてくる。
「でも高校3年生のときに好きな人ができて、初めて勇気を出して告白したんです」
薄暗い部屋の中、月の明かりにうっすらと照らされる白い壁を見ながら思い出すのは、もう十年近く前のこと。
クラスでも中心にいた、同級生の男の子に片想いから精いっぱいの勇気で告白をした。
けれど、彼から返ってきたのは嬉しい反応でも誠実な言葉でもなかった。
「そしたら、『お前みたいな暗いオタクと付き合えるかよ』って言われてフラれて。すごくショックで、同時に、変わらなきゃって思いました」