旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「あー、やっと休憩。疲れた〜」
のぞいて見るとそれは乾さんと、同じくインテリア事業部の女の子だった。
ふたりはトイレの前の廊下で壁によりかかり、だるそうに話している。
乾さん、見た目のイメージとはちょっと違う話し方だ。
そう思っていると、女の子のほうが口をひらく。
「ていうか、津ヶ谷王子本当かっこいい!間近で見れて超幸せ〜!」
興奮気味に言う彼女に対し、乾さんはスマートフォンをいじりながら流す。
あれが元カノの余裕なのか、それとももう津ヶ谷さんには全く興味がないということなのか。
「さっきの見た?桐島さんのこと庇ってたじゃん。本当王子って感じ!」
先ほどの話は彼女たちにも聞こえていたらしい。
思い出すように言いながら女の子ははしゃぐ。
「でもさ、さっきあのふたりが並んでるの見たけど、なかなかお似合いじゃない?付き合ってたりしたらショック〜」
って、まずい。変な噂が立ってしまう。
けどここで割り込むように入って『違います!』って否定するのも変だし……。
「ね、しのぶ。元カノ的にはどう思う?」
「えー?それはないんじゃない?」
ところが、私より先に乾さんが否定をした。
「なんで?」
不思議そうにたずねる彼女に、乾さんはスマートフォンをバッグにしまいながらふっと笑う。
「だってさ、津ヶ谷の本性とか知ったら引くよ?」
「え?本性?」
え……。
そういえば津ヶ谷さんが、乾さんには本当の自分を見せたって言っていた。
もしかして乾さん、津ヶ谷さんのことをバラす気……!?