旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「お前が嫌だって言っても、俺は言う。その気持ちが本物なら、俺は彩和を解放する」
いやだ、聞きたくない。
そう拒もうとする私を逃さないように、その手はぐっと力を込める。
「偽装の妻、から解放する。だから、偽装じゃなくて本当の妻になってくれ」
そう言って頬から手を離すと、彼はスーツの内ポケットから青い小さなケースを取り出した。
手のひらほどの大きさのそれをそっとひらけば、そこには小ぶりなダイヤの指輪が輝いていた。
「え……?」
本当の、妻に……?
それって、どういうこと?
意味がわからず、驚きに涙も止まってしまう。
「だって、この前乾さんと……」
「あれは、断るために話をしていたんだ。そしたら抱きつかれて、気づいたら恋人は乾だなんて噂も回ってるし……」
断る、ために……?
じゃあもしかして、津ヶ谷さんはあの時もこの話をしようと私を引き留めていた?
なのに私、思い込みからずっと拒んだりして。
「受け入れてくれる人なら誰でもいいわけじゃない。好きな人に受け入れてもらえるから、嬉しいんだよ」
津ヶ谷さんはそう言って、私の左手薬指にそっと指輪をはめた。
白い左手に、もったいないくらいのダイヤが輝く。それを愛おしむように、彼は手の甲に優しくキスをする。
「なんでですか……私完璧なんかじゃないし、嘘ついてばっかりで、外面作ってばっかりで」
「なに言ってるんだよ。完璧じゃなくて、オタクで、弱くて、大きな声で笑って、それが本当の彩和だろ。嘘なんかない」
そう言って、手を引き立ち上がらせる。