旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「桐島さん、悪い。明後日までにって頼んでおいた会議資料って急いでもらうことできる?」
先輩である男性社員にそう声をかけられ、私は頷く。
「それでしたらちょうど先程出来ましたので、メールで送ってあります。内容的に少し足した方がよさそうなところも加筆してありますのでご確認お願いします」
「本当!?さすが桐島さん!」
各部署ごとにパーテーションで区切られた広いオフィスの中、彼は自分のデスクでメールを確認すると、納得した様子でこちらへ来た。
「ありがと、助かったよ。お礼に今夜メシでもどう?ご馳走するよ」
「すみません、今夜は用事があって」
「そうなんだ、残念。じゃあまた今度誘うから、予定空けておいて」
食事の誘いに対して、にこりと笑って断る私に、彼は残念そうに言うとオフィスを後にした。
予定を空けておいてと言われても……。
職場の人とプライベートの時間まで付き合うつもり、ないんだよね。
下手に関わると、知られたくないところも知られてしまいそうだし。
そんなことを考えながら、定時も過ぎたしそろそろあがろうと荷物をまとめる。
すると、部屋の端からはコソコソと話す声が聞こえた。